鉢植え果樹は地植えと違い日当たりの確保目的で過度な剪定をすると樹勢が弱まってしまいます。

果実品質においても葉果比(1果実に対する葉の枚数)と正比例するので
葉の枚数を多く残した方が高品質の果実となります。

果実の着色と果実品質には無関係の場合が殆どで着色を気にするのは農家の手法ですが
近年では「葉とらずリンゴ」のように着色よりも品質重視の傾向も生まれてきました。

日当たりの確保は鉢回しする事でも対処可能なので
極端に内部まで日差しが入るようにする事に重点を置くよりは
果実を美味しくする為に葉の枚数を多くする事に重点を置いた樹形作りをします。

難易度の高い果樹ほど樹形により花芽数や結実率・収穫量や果実品質が決まる要素が大きく
その要素から外れない理に適った樹形を作る事が好結果につながります。





どんな樹形にしろ樹冠の広がりに制限の有る鉢植え果樹では短果枝を多く作る事が重要です。

樹形は誘引と剪定の2つの作業を合わせる事で作ります。
桃等の夏季剪定の重要な樹種もありますが基本的な整枝剪定は冬季(落葉後〜芽吹き前)に行い
直上枝や徒長枝・競合枝を中心に花芽を残しながら枝の役割と日照等を考慮しながら不要な枝を剪除します。

樹形の基幹が完成するまでは大きく太く育てる事が結実への近道なので
植え付けてから2〜3年程度の幼苗は
込み合った部分の間引・枯れた部分の剪除以外の生長期(芽吹き〜落葉)の整枝は誘引以外は行わない方が好結果となります。

幼苗は生長期間中に伸びた新梢が邪魔程度の理由で枝を剪除してしまうと枝の太りが劣る為
伸びたいだけ伸ばしておいて冬季剪定で整枝します。
*その際、枝がどこかにぶつかろうがヘンテコな角度であろうが冬季には剪除してしまうので関係ありません。




果樹の樹形は基本的に枝が横へ広がった樹形が優れます。

立ち上がった枝では、花芽が付き難い・果実が枝で傷付き易い・落果しやすい
果実が葉陰で守られず直射日光により高温障害が出る等、果樹としては劣ります。

又、樹高低く開帳させた樹形では鉢が自らの木陰になる事で
根の高温障害を軽減できる・土の乾燥が抑えられ潅水間隔が長くなる等のメリットが有ります。




開心型


鉢植え果樹は基本的に小さく仕立て
それを維持する必要が有ります。

地植えと違い鉢とのバランスにより
ちょっとした風で転倒の可能性も有ります。

又、何と言っても鉢栽培最大の利点である
鉢の移動を容易に行う事が出来る事が重要です。

当園では1年生の苗木は植え付け時に
30cm程度に切り詰めています。

売られているポット苗などでは
通常1m程度の樹高が有りますが
果樹農園などでもその後の作業性を考慮し
50cm程度に切り戻す果樹が多いようです



鉢植えでの開心形は
発生した新梢を全て誘引し
おちょこの様な樹形に仕立てます。

この樹形の利点としては
主枝より上部に直立する主幹が無い事で
頂芽優性が働き難い事。

主枝同士に上下が無いので
全体的な日当たりの確保が容易な事。

更に樹高を低く保ちつつ
枝数を増やせる事です。



果樹の樹形を作る際には
果実が生った姿を想定しながら作ります

見た目には良くても
果実がぶら下がった時に果実が結果枝に当たる様では
果実の肥大過程で傷付き易く
傷跡から腐ってしまいます。

その様な観点からも
開芯形は果樹の樹形としては優れています。


又、地植えに変更した場合でも
そのままの樹形を維持できます。



10号鉢・洋梨 ル・レクチェ










模様木風


盆栽の模様木を模した樹形ですが
果樹としては最悪の樹形です。

模様木仕立てを知りたい方は
盆栽のHPへどうぞ。


この樹形の決定的な欠陥として
果樹は養分の通り道(主幹・主枝)を
直線にする事で良い果実が収穫できる
と言う大前提から外れている事です

主幹をジグザグに仕立てるのが特徴ですが
見た目は面白いものの
樹形の完成まで要する期間の長さや
誘引等の作業効率の悪さ
樹高が高くなり易い・・etc

様々な点で
果樹の樹形としては適していません。

又、一度この樹形にしてしまうと
他の樹形への改造は困難を極めます。

植え付け1年目に主幹を斜めに植え付け
主枝となる枝を誘引し主幹の2段目を伸ばします。

冬季剪定で主幹を分枝目的で切り詰め
2年目に3段目の主幹を積み上げます。

主幹はジグザクになるように誘引します。

主幹頂上は分枝させた枝を誘引し
直上する主幹を無くす事で芯止めします。

果樹栽培の参考書などでは簡単に
「主幹を芯止めします」
とありますが

実際に育ててみると
頂上の枝を誘引する事で直上する枝を無くし
頂芽優性を分散させる事でしか芯止めは出来ません

果樹栽培を始めた頃に購入した本には
何でもかんでも模様木風に仕立てるとなっていたので
その様に仕立てましたが
今となっては大失敗だったと思います。

しかも、その本に載っている写真には
模様木風の樹形の果樹は1つも有りません。

主幹形と同様に
樹種によっては主枝の徹底した誘引が必要となり
樹高・樹幅共に大きくなる傾向が有ります。

地植えへ変更し大きく育てたくなった場合
樹形の維持が不可能で
樹形の完成後は大きさを維持する必要があります。

*この樹形に仕立てると後悔する事しかないので
お奨め出来ません。










主幹形仕立て



基本的に果樹の主幹形は幼苗からの育生段階で
一過的に通過する樹形であり
地植えの成木には適さない樹形です。

模様木風との違いは主幹を真っ直ぐに仕立てる事と
主枝を重ねる段数が自在な事ですが
頂芽優勢が働き易い樹形の為
主枝の徹底した誘引が必要となります。

模様木風と違い
木の重心を鉢の中心に据えられる為
鉢の安定性や木のバランスが保ち易い樹形です。

開心形と比較すると高さも幅も大きくなりますが
主枝や側枝の本数を多くする事が可能です。

上下に枝葉が存在する為
上葉により下葉の日当たりが遮られる場合があり
定期的に鉢回しが必要になります。

桜桃などでは下枝強調変則主幹形が
低樹高化での結実に優れている様ですが
下部主枝の徹底した誘引が条件となります。

果樹の主幹形は下枝を強く育てる必要性から
全ての枝の頂芽優勢を無くす為に
強い誘引が必要なため
大きく横に広がるので場所を喰い
その管理は非常に手間を喰います。


「管理された主幹形」の作り方はコチラ






1年目の誘引があまかった為
禿げ上がりと樹形修正に苦労している佐藤錦


既に枝元は禿げ上がり今更誘引しても手遅れ



Y字仕立て


サクランボの樹形として非常に管理しやすい樹形です。

文字どうり主幹と主枝2本でY字に仕立てます。

主幹形よりも誘引角度が浅くても良いので
同じ主枝の長さなら幅を狭く仕立てられます。

更に主枝から発生する側枝を水平に誘引する事で
樹形が完成します。

低樹高・収穫量が多い・日当たり確保が容易・・etc
の理由からサクランボ栽培などで
早期多収の樹形の一つとして注目されています。

サクランボをこの樹形に仕立てた場合
4年生で10号鉢栽培の樹高・樹幅共に1m以内の木で
100果の収穫は可能です。


鉢植えの果樹は地植えと比較して
結実する寿命が短いと推定されています。

この事から収穫開始までに5〜6年も掛かっては
収穫出来る期間が短くなってしまうため
早期多収の要素は
樹形を決定する上で大きな意味を持ちます。


どの様な樹形であっても
主枝・亜主枝は永久枝と言われ
基本的には更新をする事はありません。

後々樹形を改造するのは大変な作業です。
植え付け当初より
どの様な樹形にするか決めておいた方が
良い結果となります。














株立ち


ブルーベリーは放置すると自然に株立ちになります。

株元付近より複数本の枝を立ち上げます。

株元からの枝の更新が必要な果樹は
竹ボウキを逆さまにした様な株立ちが適します。

台切りや主枝の更新が簡単に出来るので
ブルーベリーの仕立て方に迷う事は皆無です。









アンドン仕立て


蔓性の果樹をアンドン仕立てにしています。

蔓性の果樹は樹形は自在ですが
アンドン仕立てやフェンス等に平面に仕立てると
場所を取りません。

当園では鉢の移動を考慮し
殆どのブドウをアンドン仕立てで育てています。

行灯を棚だと考えれば
管理方法は一般的な棚仕立てと同じです。


見た目は・・面白くありません。


風の抵抗を受け易いので転倒防止のため
鉢上の高さは60〜70cm程度に仕立てています






フェンス仕立て

ブドウのフェンス仕立です。
鉢の移動(雨避け等)は不可能ですが
当園のブドウは雨避けの必要が無い品種なので
主幹を真横へ這わせ
結果枝を真上へ誘引しています。

ブドウ等の蔦性の果樹は
樹形が自在に作れる為
日照の確保と栽培管理が可能であれば
様々な樹形に仕立てる事が可能です。

この仕立て方は殆ど場所を必要としません。

シャインマスカットのフェンス仕立





一本整枝

営農において早期多収する為の
サクランボの鉢栽培に於ける樹形として
古くから推奨されています。
*10数年前の古いものですが、農水省からのリンク内に
鉢植えでのこの仕立て方の研究論文が有ります。


単位面積に於ける収穫量は
通常に仕立てた地植え栽培より多いのですが
側枝が無い為に主幹が著しく肥大し
経済栽培年数は10年程度とされています。

この為、苗の更新を短期間で行う必要が有ります。

又、摘心を怠ると樹形が乱れ
果実への日当たりも悪くなり着色が劣ります。

果実糖度は他の樹形と比べると劣り
白肉種では果実着色に難があるとされます。

見た目には面白みも美しさもありませんが
狭いスペースで栽培出来る利点があります。

この事から
受粉樹として利用したいサクランボに適します。


盛夏時には窓の前に並べて緑のカーテンとして使用


前年に自作した接木苗の内7本を1本整枝に仕立てました。

樹形完成した1本整枝は樹高3m・樹幅は50〜60cmとされるが
樹高2m・樹幅30cm程度には抑えたいと考えています。




営利を目的としない趣味栽培での樹形に関しては生ろうが生るまいが好みの樹形に仕立てれば良いのですが
良い収穫を目的とするなら、その樹形は好みや栽培スペース等の栽培者の都合だけでは済まない要素が多くを占めます。

近年、営利栽培に於いても作業効率の良さから果樹の低樹高化が推奨され
地植えの農園でも樹高2m程度に抑える農法が取り入れられています。

樹形として結実し易い・管理し易い事は勿論ですが趣味栽培の鉢果樹では
最大の利点である
移動や鉢回しが容易であるという機能を損ねるほどの大きさはナンセンスと考えています。

又、鉢は大きい方が良いという訳でもなく
鉢栽培での適切なサイズが果樹試験場により試験されている樹種もあるので
研究資料を参照する事で無駄な大鉢を使用することが無くなります。

例*サクランボでは25リッター鉢とそれ以上(45・60リッター鉢)との差が無く
経済栽培での可搬性を考慮すると25リッター鉢が適するという試験結果が出ているので、それ以上の大鉢は無駄。

又、樹高を低く保つ事で風の影響を受け難いだけで無く
低い位置で農薬や葉面散肥を噴霧出来る利点も見落とす事が出来ません。
遮光ネットや防鳥ネットなどで覆う事も低い樹高の鉢植え果樹では容易に行えます。

樹種ごとに管理しやすい樹形がありますが全て同じ樹形でも見た目の面白さがありません。
基本は結実した時を想定し果実がぶら下った時に結果枝と擦れない枝の角度を考慮しながら樹形作りをします。






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