挿し木・接木は園芸作業の中でも特に頭を使う事のない容易な単純作業です。
特に接木は手技にさえ慣れてしまえば挿し木よりも容易で失敗する事は殆どありません。
穂木は使用直前に採取したものの方が発根・活着共に優れます。



2016/2/14

今年は暖冬の影響で台木の芽が動き出したようなので、遅ればせながら接木しました。
サクランボの接木


サクランボの接木


今年は紅てまり2本と絢のひとみ1本を接木しました。



細菌性・ウイルス性の病気は全身に病原菌が回る病気も多いので
感染した母樹からの増殖苗(挿し木・接木・取り木)は製作以前に既に感染樹であり
その様な病気(ガンシュ病等)に罹病した母樹からの穂木は使用しないように注意します。



接木を行う目的

果樹のそれぞれの品種の原木は地球上に1本しか有りません。
流通している全ての苗木はそのクローンなので原木と同じ果実を実らせる事が出来ます。

他の品種の花粉で授粉した果実やその可能性の有る購入した果実の種を撒いて育てても同じ実が生る果樹にはなりません。
種から育てた苗を実生苗と言いますが品種登録されたものと同等品質の果実の生るものが育つ可能性は殆ど無いので
長い年月を掛けてわざわざ果樹として育てる価値は有りませんが接木の台木としては有用です。

上記した様に品種としての特性を維持したい場合は挿し木や接木で原木のクローンを作る必要があります。

接木で果樹苗を増殖する目的は幾つかあります。

特に挿し木による増殖効率の悪い果樹では
台木を育成し接木をする事で原木と同じ遺伝子を持ったクローン苗を作った方が効率的です。

台木により矮化の効果や果実の生産性や果実品質が良くなる場合も有り
生産効率・管理効率を考慮した台木により接木苗が作成される場合も有ります。

又、病害虫に耐性を持った台木を使用する事でそれらの被害を軽減する事が可能です。
ブドウネアブラムシに対抗するために接木を行うブドウが一例となります。

もう一つは果樹栽培初心者が、より栽培難易度を下げる為に接木苗を育てる場合があげられます。
元々が最低難易度の果樹の難易度を更に下げてどうするのか良く分かりませんが
最近流行のブルーベリーの接木苗などがこのケースに当たります。




接木


接木は果樹栽培において
挿し木と並んで最も難易度の低い単純作業です。

根の無い状態からのスタートとなる挿し木よりも
台木に根がある接木の方が簡単に成功します。

接木方法は幾つか有りますが
基本的には休眠枝を接木する方法が簡単です。

*秋の芽接ぎや接木は当年の生長は殆ど無く
翌春に接木しても同じで
越冬の手間だけ無駄な労力が増えます。

形成層やカルス云々等の能書きは不要です。
仮に知ったとしても
実際の作業の中で形成層どうしが合っているか否かを
目視確認する事は不可能です。
せいぜい切り口の点としての確認が関の山。。

接木作業は頭を使わない単純作業なので
接げば繋がると気楽に挑戦する事です。

現に始めての挑戦で殆どの接木が成功しました。
簡単過ぎて自慢にもならない位
必要とする知識・技術レベルの低い作業です。

コツという程の事でも有りませんが
台木・穂木共に真っ直ぐに切る事と
接木テープをきつく巻く事

以上、2点にだけ注意します。

合わせ位置は表皮どうしが大体合っていればOKです。

接木は形成層がどうしたこうしたという理屈よりも
発芽した後のケアの方が重要です。


*癒着を目視確認してから展葉させると
非常に高い確率で成功し失敗例は殆ど無い。



サクランボの接木(6号鉢)
台木は前年に挿し木で増殖したコルト



約半年後の同上接木苗(10号鉢)






芽接ぎ



芽の部分だけを他の品種の枝や
同じ木の枝の欲しい部分に接木する方法です。


単なる接木よりも難易度は高くなりますが
枝元から禿げ上がり易い品種や
不定芽の発生し難い果樹の樹形作りに有効と思います。


写真は芽接ぎの発芽(3月)と
生長した芽接ぎ(6月)の様子です。


新梢が伸び始めれば接木はほぼ成功です。
徐々に保湿用の資材を取り外し
数日掛けて外気に慣らします。

いきなり直射日光に当てる事も良く有りません。



芽接ぎの方法は色々とありますが
当園では宮式と言われている方法で行っています。

仔細はリンクより参照下さい。










基本的には台木からのヒコバエを育てたものや一般的に用いられている台木品種
同種の実生苗などが問題の無い台木となります。

挿し木による増殖が可能な台木の有る果樹は
樹勢の強い栽培品種の挿し木や台木品種の挿し木を台木にする方法もあります。

鉢植えの果樹では矮化台は全く不要です。

矮化台の苗でも何もせず鉢植えで育てられる程の矮化は不能で
鉢に見合った大きさに維持する手間は変わりません。

更に・・矮化台の果樹は接木位置が高いので植え付け時に大きく切り戻し出来ません。
小さく仕立てたい場合には逆に不都合です。


鉢植えで放置するならいざ知らず
矮化台の効果が有るのは地植えで育てる場合だけです。








自作苗には大きな利点がある

清潔な土(消毒されている)で挿し木により台木品種を増殖させ
以降、同様の倍土を使い自作の苗を作り育てるとガンシュ病になる事は殆どありません。

ポット苗のように根が切り詰められた状態では無いので上手く活着させる苦労も無く
最初から細根が多いので生長に優れ、果実品質も上がります。

又、購入した苗では芽が欠けている事も珍しくありませんが
自作苗では自分で失敗しない限り芽が欠けてしまう事も無いので樹形も作りやすくなります。


自作接木の接ぎ跡(サクランボ)


購入した苗の残念な接ぎ跡(サクランボ)

自作苗は購入したものと違い当たりハズレが無い。
綺麗な接木苗を作れる事が多く、その後の生長も優れます。
育苗に慣れてくると購入した苗と遜色の無い大きさの苗が接木後約半年程度で作れます。




多品種接木は利点よりも欠点の方が多い

1本の木に高接ぎ等で複数の品種を接木したものを多品種接木と言います。

授粉樹を接木したり少ない鉢数で多くの品種を栽培できたりと便利な面も有りますが
収穫期が異なる品種を接木すると管理し難く、やりたい作業をやりたい時に出来なくなると言う弊害があります。

又、最悪なのは品種により樹勢が違う為、強い品種に合わせると弱い品種は全く伸びず
弱い品種に合わせると強い品種は徒長しまくるので樹勢コントロールが非常に難しくなります。

病気防除に於いても同じ樹種でも品種により薬害の発生の有るものが有り
品種毎に別々な農薬を使用しなければならないので管理の手間は単独品種の数倍掛かるケースもあります。

サクランボの品種確保にアメチェに複数の品種を接いだ3鉢の多品種接木がありますが実際には最悪の状態です。

授粉樹を接木し主要品種の栽培面積を増やそうとした結果、高接ぎ病により被害が問題化した山形県の事を考えれば
作業をする前の知識として高接ぎ病の潜在感染品種の把握が必要ですが
穂木の交換などで他所から来た(特に接木を頻繁に行っている所やウィルス感染樹の多い特産地の農家)
穂木を接木する場合は特に要注意です。

高接ぎ更新に関しては「潜在感染品種は高接ぎしない」「過去に接木の経歴のある母樹から穂木採取しない」事が重要です。

又、経験上では開花期が揃う事も皆無で、上記してきた事をふまえると利点よりも欠点の方が多く
そこまでして多くの品種を育てる意味は無いというのが結論です。





異品種間での接木親和性

異品種を台木として使用する事が可能な樹種も存在します。

同じ仁果類のリンゴに接木した和梨(接木4年目)
同じ仁果類のリンゴに接木した洋梨(接木4年目)


例えばモモ台木のプラム苗が販売されていますが
品種によってはリンゴに洋梨などの異品種接木を成功させる事も可能です。

*近種のものに限り、「核果類と仁果類を接木する」等近種に無いもの同士の接木は不可能です。

*その様な異品種間の接木親和性に付いては品種により活着率が大きく異なり
台木品種と穂木品種の選定が重要になるので研究資料の存在する樹種はそちらを参照下さい。





2009年に初挑戦した接木の成功率とその後の生長を見ていると
高価な接木ナイフや特殊な接木テープの必要性は全く感じません。
カッターナイフ&普通の接木テープで充分です。

台木と穂木を真っ直ぐに切る事とテープを綺麗にキツク巻く技術が成功・失敗を大きく左右します。
形成層やカルス云々の理論を知っていても台木や穂木をある程度真っ直ぐに切れない事には成功率は高まりません。
知識的情報を得るよりも上記2点の手技に慣れる事が高い確率で成功させるための必須条件です。

それが可能な品種の接木の成功率は手先の器用さと管理能力、台木・穂木の状態により決定されます。

腕前次第とも言える接木の成功率など気にするだけ無駄なので
ものは試しにやってみる程度に考えて遊びの一環として試してみるのも楽しいものです。


接木作業


穂木採取


果樹毎の増殖方法





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